羊と虎


「何か変?」

「ううん!ごめん、良い男だなぁと思って見てた」

「っ!・・ご・・ほ」

想定外の言葉に慌ててしまい、器官に水が入った。

「ゴメン!」

慌ててハンカチを凱に差し出すが、それより早く、胸ポケットから自分のハンカチを出して口元を覆う。

「凱って私の理想そのものなんだよね。
私が男だったらこうなりたいって言う。
だから、ついつい見ちゃうんだ」

「ゴメンネー」なんて笑って謝る姿は、とても可愛らしい。

こういう所に男はコロリと落ちるのだろうと、凱は妙に納得してしまった。

「理想かぁ・・」

口元のハンカチを話さずに小声で凱が呟く。