羊と虎


「ううん。私も今来たところ」

店員がメニューを渡してくれるたので、メニュー表を見る。

『イタリア料理?』

杏奈は食べられればそれで良いので、フランス料理もイタリア料理も区別がつかない。

メニューのしたの説明が気を見て、料理を決めた。

「凱はお酒頼まないの?」

「うん。今日は帰って仕事をするから」

「忙しいの?」

「ううん。秘書の交代があってバタバタしたから」

急いで来たらしく、息を整えながらグラスの水を飲む凱の喉仏をついつい見てしまう。

『いいなぁ。やっぱり理想だなぁ』

グラスを持つ骨ばった男らしい手も、ネクタイを緩めてボタンを外した首元も、男らしい色気が漂っている。

遠慮の無い視線を向けていたせいで、凱が困った顔をしている。