羊と虎


「あんまりジロジロ見ないで下さい! 
あ!、経口補水液!ちょっと待ってて下さいね!」

何か言う前に、勢い良く部屋を出て行ってしまった。

ジロジロ見るなと言われたが、言われると気になってしまい、部屋を見渡した。

女の子らしい部屋とは言いがたい、ベンチプレスや、懸垂をするのだろうと思われる器具、鉄アレイが置いてある。

唯一女の子らしい物と言えば、凱が持っているペンギンのぬいぐるみだった。

「!?」

手に馴染んでしっかり握り締めてしまっていた事に気付き、そっとサイドボードに置いた。

「丁度良い感じです!」

ドアを開けて入ってきた杏奈の手には、トレイがあり、その上にはペットボトルとコップとガラスの器が乗っていた。

「水分補給にどうぞ!」

渡されたコップを飲むと、成る程経口補水液だった。