羊と虎


「う・・・ん」

微かな声が静かな寝室に聞こえて、見ていたスマホから視線を外し、凱の方を見た。

ゆっくりと瞼が上がり、ぼんやりと目を開ける凱の姿があった。

まだ寝起きなので、状況が把握出来ないようで、目を何度か瞬かせている。

「ここ・・・?」

「私の家です」

独り言の様に呟いた言葉に杏奈が答えると、ビックリしたように飛び起きると、額に貼ってあったヒエピタがパタリと落ちた。

「え!?僕・・」

慌てたように身なりを確かめた時、ペンギンのぬいぐるみを掴んでいる事に気付き、顔を真っ赤にした。

「やら・・かした・・・」

消え入るような小さな声が俯いた凱の方から聞こえて来た。

「あぁ、熱が高くて意識が朦朧としてたんで、うちに運んだだけです」

「うち?」

見回すと、見た事の無い部屋だった。