「?」
振り向くと凱がこちらを見ていて、その手が杏奈の服の裾を引っ張っていた。
「あぁ、気がついたんですね。気分は?これからスポーツドリンクと、何か食べるものを買いに行こうと思ってたんですけど、何か欲しいものありますか?」
椅子に座りなおし、凱に尋ねると僅かに首を横に振った。
「じゃぁ適当に買ってきますね」
そう言って立ち上がろうとすると、また引き止められる。
「?」
「何も・・要らないから・・ここに居て」
『?! 何?、この胸の苦しさ』
会社では前髪を横に流して大人の男性の色香を漂わせている凱だが、今日は前髪が降りている所為か、随分若く見える。
更に、熱の所為でトロンとした目が可愛く見えて、先程から心臓が煩い。
「わ、わかりました。居ますから、寝てて下さい」
そう言うと一瞬ふわりと笑ってまた眠った。

