「それにアタシはいつでも最後までいってもいいって思ってるのに、タケルは全然乗ってこないし・・・もしかしてさ・・・」

沙紀は真剣な顔をする。

「タケルってホモなんじゃないかな?」

今度は本格的にアイスティを噴出す羽目になった。このコは何を言ってるんだろう。

「そうだったらどうする?あきらめるの?」

興味本位で尋ねてみる。

「あきらめられない!そんなのイヤだ。でもほんとにそうだったらどうしよう・・・」

本気であわててる沙紀は本当にかわいい。

「あははは。そんなわけないじゃん。沙紀を大切に思ってるからだって」

「そうかなぁ」

「そうだよ」

王子様はお姫様を大切する。それは物語の絶対の決まりだもの。

「あー、湊に話したらすっきりした。今まで悩んでた自分がバカみたい。湊ありがとね~」

ニコニコのいつもの沙紀にもどった。

「ひょっとしてほんとに本気で悩んでた?」

「うん!」

即答される。沙紀の可愛さにはかなわない。王子じゃなくったって100人の男がいたらきっと100人とも私じゃなくて沙紀を選ぶだろう。私が男でも沙紀を選ぶ。

私は沙紀が好きだと思った。

タケルとのこと祝福してあげなくちゃ。そうでなければ私はタケルのそばにはいられない。心の中でそっと決意する。