「教科書まだ届いてないんだ。見せてくれる?」

私は隣の王子・・・じゃなくて一ノ瀬くんに声をかけた。

「あぁ」

ぶっきらぼうに言って教科書を2人の机の境目においてくれる。

なんか・・・緊張する・・・

集中できなくて私は窓の外を見た。校舎の離れにある建物が目に入った。

あれって・・・?

「ねぇ。あの建物ってなに?」

気になって一之瀬くんに聞く。

「あれ?プール」

「え?ここってプール授業とかあるの?」

「あるよ」

知らなかった・・・それなら泳がないわけにはいかないだろう。泳ぐのなんて何年ぶりになるんだろうか・・・複雑な気持ちになる。

「一ノ瀬くんって泳ぐの得意?」

私は少し緊張しながら聞いてみた。

「まぁ得意な方かな。一応水泳部だし」

「ええっ!!」

かなり驚く。あのときの王子が水泳部なんて。

「なんでそんなに驚いてんの?ヘンなの」

一ノ瀬くんが怪訝な顔をした。