「……ったく。ほら、もう寝るぞ」


私が笑ったことで不貞腐れてしまったのかもしれない。


藤くんはテレビを消すと、繋いだ私の手をぐいっと引いて寝室へと向かう。



藤くんは一人暮らしだ。てことは当然のことながら、ベッドは1つ。



「来いよ、蜜」


先にベッドに入った藤くんは、そう言って私を呼んだ。




「みーつ」


……ずるい。


そんなに優しく呼ばれたら、私は行くしかないじゃないか。




「ん。素直でよろしい」



ドキドキする胸を押さえてベッドに腰かけると、藤くんは満足そうに微笑む。


そしてそのまま私をゆっくりベッドの上に倒すと、頬を撫でた。




「愛してる」

「……っ」


それは、藤くんのいつもの合図。



私をベタベタに甘やかす前の、合言葉。