学校を出て、テクテクと駅に向かって歩く。
デートとは言っても、こんな遅い時間じゃ場所は限られている。
少し夜景を眺めて、一緒にご飯を食べる。それが今回のデートプランだ。
もっと1日中遊んだりしたい気持ちもあるけれど、この時間だからこその楽しみだってあった。むしろ、こっちの方がいいとすら思ってしまっているかもしれない。
「ほら、蜜」
ある程度学校から離れたところで、藤くんが手を伸ばしてきた。
それが嬉しくて、幸せで、私もその手に自分の右手を重ねる。
こんな学校も間近なところで、いつもなら手なんて繋いでくれない。だって、他の生徒にバレるかもしれないし。
でも遅いこの時間なら、まず生徒に会う確率は低いし、何より薄暗くてパッと顔の判別はつかないから。
だから、制服を着ていようと、こうして堂々と藤くんと手が繋げるんだ。



