「自分で返してくださいね」と、夏目くんに奪われたはずの本が手元に帰ってきた。
「それでも本当に生徒会ですか?」
……夏目くんの嫌味付きで。
「し、失礼な!ちゃんと副会長やってますー!」
「だから、大声出さないでくださいって」
思わずムキになって言い返したけれど、また夏目くんに怒られてしまった。
わかってるもん。図書室は静かに、でしょう?
ほとんど来ないから忘れてただけだもん。
「ていうか、夏目くんって図書室来るんだね」
「……なんですか。その意外って顔は」
ふと、疑問に思った。
夏目くんの方が、なんだかこの場所に慣れている気がする。
「ううん。だって夏目くん、頭いいし。図書室で勉強したりするんでしょ?……あ、騒ぎ立てる女の子たちからの逃げ場所でもあったりして」
「なんてね」と、ふふっと笑いながら彼の顔を見上げる。



