*** 「おっ、真崎。いいところに」 その翌日の昼休み。 トイレに行って教室に戻ろうとしていたところで、私はまんまと先生に捕まった。 「なんでしょう?」 「この本、図書室に戻しておいてくれ」 「……わかりました」 生徒会に入ってる手前、嫌な顔はできない。 先生からよくわからない歴史の分厚い本を渡されると、当の本人は颯爽と去って行った。 自分で借りた本は自分で返すのが基本なのに。 そんな通りが先生に通用するわけもなく、私は教室に向けていた足を変えて、図書室へと歩を進めた。