「真崎ー。俺先に行ってるからなー」

「はーい」


今日の授業が終わって、いつも一緒に生徒会室に行ってた野内くんが、私を置いて先に教室を出る。


ここ2週間、ずっとそんな生活が続いていた。



理由は、ただひとつ。



「夏目くーん!生徒会室行こう?」

「……いい加減しつこいんですけど」


問題児である、夏目くんを迎えに行くため。



「いーじゃん、いーじゃん。行こうよ〜」

「駄々こねないでください。年上でしょ?あんた」

「あ、先輩にその口調はよくないなぁ」

「………帰ります」

「あっ、待って待って!ごめんって!」


相変わらず生徒会室には来てくれないけれど、少しずつ会話はしてくれるようになった。


このままいけば、夏目くんが生徒会室に足を踏み入れてくれるまで、そう時間はかからない。……と、信じている。