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「あれ、夏目くん。帰らないの?」
仕事が全部終わって、解散の時間。
沙耶ちゃんと美海先輩と野内くんが帰っていく中、いつもなら我先にと生徒会室から消えるはずの夏目くんが、まだ残っていた。
「まぁ、ちょっと。……興味本位で?」
「ん?なんの?」
普段笑わないくせに意味深な含み笑いをするものだから、なんだか嫌な予感。
そのまま夏目くんが向けた視線の先にはまだ作業中の藤くんがいて、その嫌な予感がもっと膨らんだ。
「ま、まだ諦めてないの!?」
小声で問い詰めると、「なんのことです?」ととぼける夏目くんは、完全に確信犯。



