「よし、今日はもういいぞ。お疲れ様」
今日は入学式だから、本来は在校生は学校がお休み。
だから生徒会の仕事も入学式が終われば今日の分がないわけで、藤くんの一言で今日のところはお開きになった。
「よっしゃ、お疲れ様っす!てことで美海さん、今日も家まで送りますね」
「ったく、あんたはめげないね」
「当たり前じゃないっすか〜」
ニコニコ笑顔で鞄を持った野内くんは、今日も美海先輩と一緒に帰るらしい。
どうやら野内くんは入学当初に美海先輩に一目惚れをしたらしく、生徒会に入ってからはずっとアタックし続けていた。
「あいつもよくやるよな」
「あはは。でも美海先輩、最近満更でもなさそうだよ」
そんな2人の背中を見送りながら、藤くんは呆れ口調でそう零す。
私の口から敬語が消えたのは、2人きりになった今この瞬間から。



