健司が来ない間、美加は罪悪感と心配とで落ち着かない気分だった。


「うーっす!」


久しぶりに健司が登校してきた時、美加は安堵感と共に胸の奥がムズムズするような不思議な感覚に襲われていた。


「おいっす、美加ちん」


健司はいつもと同じようにおちゃらけた様子で挨拶をしてきた。


「…おはよう」


気恥ずかしそうに目を反らしながら挨拶を仕返した美加を見て、健司は一瞬固まった。

美加が挨拶をしてくれたのが初めての事で、驚いてしまっていたのだ。

しかし、それと同時に嬉しさが込み上げて来ていた。


「…あの…この間は、その…ありがとう」


もじもじしながらお礼を言う美加を初めて可愛いと感じた瞬間だった。

健司は照れ臭くなり美加に背を向けながら


「ん?何の事?分かんねぇや」


と肩をすくめた。