「健司！」


美加が駆け寄ると、健司は青い顔をして美加を見上げた。

見たこともないその顔に美加はザワザワした不安を感じた。


「人を…撥ねたんだ…」


がっくりと肩を落とす健司に何も言えず、黙って隣に座った。

力無く美加に寄り掛かる健司をギュッと抱きしめながら…



被害者は同じ年の女性で、事故の影響で片足が一生不自由になると告げられた。

事故自体は健司が悪いわけではなく、居眠り運転に巻き込まれて避けられない事故だった。

それでも健司は自分を責め、門前払いをされても毎日女性の見舞いに通った。

そんな健司を美加は一生懸命支えていた。


「今日さ、やっと会わせてもらえたよ」


見舞いに通い始めて半月が過ぎた頃、健司がホッとしたように美加に告げた。

健司の誠意が相手の親に伝わり、面会が許されたのだ。


「明日も来てくれって言われた…」


健司は申し訳なさそうに美加を見た。

美加は胸のざわつきを感じながらも信じることしか出来なかった。