ガランとした部屋を美加は感慨深げに眺めていた。

高校卒業と同時に一人暮らしを始め、四年間を過ごした部屋。

六畳ほどのワンルームのこの部屋を狭く感じていたのに、何も無くなった部屋はやけに広く感じられた。

たくさんの日々を過ごし、数え切れない程の思い出が詰まった部屋。

あちこちに記憶のかけらが散らばっている。



「そろそろ出なきゃ…」



自分に言い聞かせるように呟いた。

引っ越しのトラックはすでに出発している。

あまり遅くなるわけにはいかない。

それでも、部屋の中央に座ったまま、動けないでいた。

ポスターの跡が白く残る壁をぼんやりと見つめて…