それから三駅を越え、次は私が降りる駅だ。
電源を切り、スマホの画面を真っ黒にして、リュックサックの中にしまった。


私が降りる駅は、田舎の中ではそれなりに大きい駅で、降りる人も多い。
エスカレーターで、一段も空けることなく左に密集する一列という奇妙な光景が広がる。理由を知らなかった時は不思議に思ったけど、理由を聞けばすぐになんともなくなった。


奇妙な行為も理由を知っていれば、なんともない普通の光景になっていく。
そういえば、一列空けるのは実は危険、と聞いたことがある。けどうろ覚えだし、通勤、通学中の人をどうこうするのも私の役割じゃないから、いつも通り左に寄った。


改札に定期を通し、飛び出た定期を引き抜く。手を離されたパスケースはびゅいんと戻って、定位置で揺れる。


気分をさらに落ち込ませる曇り空はここにも広がっていた。はぁ、と見えないため息をついて、学校へ向かった。