私の不安をあなたが一番知っている

出かけるとき用のリュックサックに財布とスマホだけを入れ込んで、ドアが閉まる音を背にして歩く。


今と昔の違いにも向き合えそうだ。
昔に会えば嫌いになったけど、今の安芸津さんを嫌いたくない。
その気持ちに正直になるにはどうすればいいのか。


そして自分のやり方。
人を傷付けずに変えるなんて考えは、甘いと思われるのかもしれない。誰にも理解されないかもしれない。


複雑に絡んだ感情が、解けるように動く。
今は頭が冴えていて、次々とそれらがまとまった。


糸で引き寄せられるようにぐんぐん進んでいく。
全速力も、それより速い電車でさえも、私の心には追いつかずもどかしかった。