「澪ちゃん、雫のクラスはどこ?」


 今まで黙って手を引かれていた雫が言う。息が切れている。

 そういえば雫は体力がないんだった。忘れてた。


「雫はA、私はCだって。クラスメイトまでは見てない。出席番号は18だって」
「ん。わかった」


 靴を脱いで新しく割り振られた自分の靴箱に放り込む。閉めておけばバレない。
 上履きをはいて階段をのぼる。いつもよりのぼる階数が少ないというのは、なんだか不思議な気分だった。

 廊下は、一年生の廊下とあまり変わり映えはしなかった。


 教室が近かった雫を送り届けたあと、勢いよく扉を開けた。
 音で振り返ったクラスメイトに構わず、ポツンと空いていた席に素早く腰を下ろした。

 席は出席番号で決まっている。これであってるはず。

 私が座った後すぐに、鐘がなって先生が入って来る。


 仮の担任が、毎年繰り返される進級の祝辞を並び立てる。
 その間、生徒たちはボーっと、それぞれの自由な時間を過ごしていた。