「ただいまー」


 無意味のような気がするけど、一応言ってみる。案の定、回答はなし。
 うちは寝るのが早い。この時間は、家族全員とっくに寝ている時間だ。


 今日は慣れないことをして疲れてしまった。

 早く寝たい。


 重い身体を動かしてサッとお風呂に入り、パジャマ姿でベットにダイブ。

 明日の用意は既に出来ている。そもそも、登校初日は簡単なテストくらいしかない。
 あとは寝るだけ。

 目覚まし時計をセットしたところで、画面が光っている携帯が目についた。


 来ていたのはよくある通知だけ。
 私は慣れた手つきでメッセージアプリを起動させた。


〈一応行ってきたよ~
私の役目は果たした。〉


 おまけに変顔をしたクマのスタンプをつけておく。私は結構気に入ってるのだけど、このクマを使う奴が他にいるかと言われると、珍しいように思う。

 あて先はもちろん姉。
 報告だけのつもりだったんだけど、返事はすぐに返ってきた。


〈今帰ったの?ずいぶん粘ったね
楽しかったー?〉

〈楽しくないよ!
美雨姉のメイクのおかげで、めっちゃ囲まれたんだから!〉

〈えー、いいじゃない
私のメイクの腕に感謝しないと〉

〈私は美雨姉みたいに人に注目されて喜ぶ趣味はないんだから〉

〈やだー
澪が言うとあたしが変態みたい〉

〈似たようなものじゃないかなぁ?〉

〈ひどーい
お姉ちゃん泣いちゃうよ?〉

〈とにかく、代わりは果たしたから
約束は守ってよね〉

〈分かってるもん〉


 もん、って……あなたは一体いくつなんですか。

 眠いし、そろそろ終わらせようと思ったところで次のメッセージが届いた。