by 宇佐美 優那

「あのね、くまさん、、うまく話せるかどうか分からないから、最後まで聞いてね。」
私は、頑張って、くまさんの顔をちゃんと見て言った。

「了解。」くまさんは、私の前に座りなおした。くまさんは、、でかい。

「あのね、私の両親、ずっと、すごく仲良かったの。本当に。ラブラブで、それで、ちょっと恥ずかしいんだけど、私の兄弟がいっぱいいるのも、そういう訳なの。」

くまさんは、口元で両手を組んだ。くまさんは、照れると、いつもこうする。
くまさんの顔が赤くなったので、私も恥ずかしくなって体温が上がった。

「でもね、エロイかもしれないけど、やらしくないの。ピアノサークルより、軽音の方がエロイと思う人もいるかもしれないけど、私の考えはちょっと違うの。」
「ごめん、どこに話飛ぶの???」
「最後まで聞いて。うまく話せないから。」
「。。。。」

「ピアノ室のカギ持ってる教授、既婚者なんだよね。女学生といちゃついてるの見て、何かすごいやらしく感じたんだ。こいつ、シャワーさえ浴びれば、自分が汚いことしてるとか分かってない奴だって。。」

「ピアノサークルがやらしいという意見は了解した。」くまさんは、話の要点をまとめようとしているようだった。

「軽音は、エロイけど、純愛なんだよ。うちも、両親がそうだし、私も、そういう結婚にあこがれてるし、松野さんとキヨシさんも、いけてるカップルだから、私は好き。一家でジャズバンドが夢らしい。」

「。。。今の話の趣旨は、ちょっと分かりづらいな。」

「だから、私は軽音が好きってこと。」

「了解。」

「宇佐美家は、代々大家族で、うちのお父さんも、5人兄弟の下から二番目なのね。だから、、推奨なエロと、ダメなエロがあるの。だから、松野さんもキヨシさんも、好きだし、悪く言われたくない。でも、、私の演奏と、松野さんのバンドじゃ、合わないと思うんだよね。」

「。。。」

「だから、平林さんと、別バンドとして学祭に出ようと思うの。」

「何だ、軽音の話か。。」と、くまさんは、ちょっとほおけたような顔をして、つぶやいた。

「くまさんが、どうなったか教えてって言ったんだよね。どうしようか、どう説明しようか、めちゃめちゃ悩んで、やっと自分の頭の整理がついたんだよ!!」

「分かった。分かったよ。話はしなかったけど、やめる気なんかないのは分かってたし、今日だって迎えに行ってやってるじゃん。」

くまさんは、目をつぶって上を向いた。それから、、ちょっと目が覚めたように、フルフルと頭を振った。

「お前さ、今の話にエロだの何だの交える必要あるわけ???どうしてそこから話が始まるのか、紛らわしいんだよ。。要は、来年は別のバンドで学祭出たいってことでしょ。」

私は、大きくうなずいた。
彼は、ため息をつく。。

その時、くまさんの携帯電話と、私の携帯電話が同時に鳴り始めた。

くまさんの電話は前嶋さんからで、私の電話は病院からだった。。ひとみさんが、検診に行く途中で倒れた。。