by 中野 馨

今日は、本当は、約束があったので、昼前に熊谷君が研究室にやってきた。彼はすごい。ここに来る度に新しくなってる。

でも、今日の私は、それどころではなかった。

熊谷君が部屋を出たあと、誰か部屋に入って来た。
てっきり熊谷君が戻って来たと思ったので、後ろを向いたまま、私は謝った。
「ごめんなさい。変なこと言って。忘れといて。天才中野馨は、時々壊れるってことだ。」

「何忘れとけって??」
びっくりした。時田さん。昨夜、部屋から飛び出したのは、私だ。1週間前に、この部屋での待ち合わせ時間を決めたのも私だ。
振り替えると、時田さんは、ネクタイを緩めているところだった。私は、彼がネクタイを緩める仕草が好きだ。
「馨さん、熊谷君に、何話したの?」
「、、、にゃんにゃんしたって。馬鹿なことしちゃったって。」
彼は、右手で顔を覆った。
「ありえない。。」
「時ちゃんが悪いんだよ。私、ちゃんと将来考えたいって、赤ちゃん産みたいって言ったのに、返事もないし、その後避妊して2回もやっちゃったし、返事がないのが返事かって頭の中ぐちゃぐちゃだよ。」
私は、ぼろぼろと涙をこぼした。
「なるほど。。」
「なるほどじゃないっっ!!」
「馨さん、声が大きいよ。。俺が悪かった。言葉が足りなかった。」
私は、彼に歩み寄って、それから頭を擦り寄せた。
「もう、でも、時ちゃんが悪い男でも何でも良い。時ちゃんの女でいたい。」
本当のところ、今、めちゃめちゃスイッチが入ってしまっていた。多分、彼がネクタイを緩めたりするからいけないんだ。。
昨日から途中になったままだから、体の芯から疼いて、どうしようもなかった。
「俺は、悪い男にはなりたくないし、赤ちゃん作るなら馨さんにお願いしたいし、ただ、結婚が先だし、家族に説明が先だし、会社にも説明が先だと思っただけだよ。馨さんの心は、俺の物って、手応え感じてたんだけど、勘違いじゃなくて良かった。」

「ちょっと分かった。待ってくれっていうことなのね。」と、私は言った。

「まあ、そう。」と、彼は言った。
「私、あなたが避妊する瞬間に、何かすごく落ち込むのね。後、避妊具外して捨てるときも。何か、たまらない罪悪感に萎えるというか。」

彼は、左手で私を抱いて、目を手で覆った。
「馨さんさ、俺、今、ゴム持ってないんだけどさ、抜き差しならない状況なんだ。やりたい盛りというか。こういうのは、萎える??」
私は、彼の胸に顔を埋めたまま、ブンブンと横に首をふった。
時田さんは、一回ぎゅっと私を抱きしめてくれた。
「口でしようか?」と、私は言った。
「俺、そういうのちょっと苦手。されるよりする方が良い。馨さん、口でするの好きなの?」
「やったことないし、怖い。」
「気が合って良かった。でもまあ、俺に合わせる必要はないよ。馨さんの好きなことに俺が合わせるから。俺、サービス精神旺盛なの。こういう事は、正直にやった方が良い。」
「時ちゃんこそよ。」
「俺、昨日はめちゃめちゃ堪えたなぁ。もう、一晩中悶々としてたわ。気持ちは通じ合って、体も喜んでもらってると思ってたから、何が気に入らないのか、、でも、嫌がってるの無理にやるのとか好きじゃないし。めちゃめちゃやせ我慢。」
時田さんは、笑った。私は、彼の胸にキスした。
「たまには馨さんのやり方で行くかな。」
彼は、耳から、うなじから、脇の下まで、丁寧に愛撫し始めた。もう、全身総毛立つような甘い痺れが広がっていて、中がぐちゃぐちゃになっていることが自分で分かった。彼が下腹部に手を触れたときには、ねだるように擦り付けてしまった。
彼は、、私の耳を軽くかんだ。それから、耳元で、掠れるような声で囁いた。
「こんだけ煽って、今さら嫌がったって止めれないからな。1滴残らず中に出してやるよ。」
私は、何も答えなかった。逆らえるわけもないし、逆らう理由もない。
ただ、、期待で震える体の疼きを逃がそうと、腰をよじるだけ。

時田さんは、部屋の扉に鍵をかけた。研究室のソファーに寝かされて、それから、すぐに、いつもより熱くなった彼が入ってきた。
「馨さん、ちょっと力抜いて。動かないで。じっとして。」止まろうとするが、腰が疼いてダメだ。止まろうとすると足が痙攣した。
「ゴムなし初めてだから、ゆっくり楽しみたい。」時田さんは、彼らしくない妖艶さで笑った。
「馨、動くな。」彼は、私の口を塞ぐようにキスした。私の目から、歓喜の涙が滲んだ。あそこから全身に広がる快感で目がチカチカした。胸の突起が固くとがってじんじんした。