by 宇佐美 優那
ほっちゃんの初舞台の後、私が適当にシロフォンのメロディーたたいて、それからくまさんのピアノにつなぐはずだった。
ところが、私は、実際には、めちゃめちゃ焦りながら、何もできないままに舞台袖に引っ込んだ。めちゃめちゃ焦ったし、ほっちゃんが腕の中でぶんぶんじたばたしながらあばれていたので、メロディーたたくどころじゃなかった。そのまま退散だ。
舞台袖では、平林さんがお腹を抱えて笑い崩れていた。
「シャウトしてたよ。シャウトしてたよね。やるじゃん。めちゃめちゃ舞台映えする子だね。面白すぎ。。」
くまさんの方を振り返ると、彼は、演奏をうまくつなげながら、こっちにひらひらと手をふった。
くまさんも、この状況を楽しんでいる様子だ。
シャウトしながら、予想以上にシロフォンかき鳴らしたほっちゃんは、家族の中では、今日の主人公だった。