by 熊谷 義明
宇佐美とお父さんが、あちらで手を振っている。
優矢君が、またかけだした。
「優那、かき氷買いに行こう。かき氷買う約束した。」
本当に元気だ。
「優那、お父さんが出すよ。お父さんにはみぞれ買ってきてくれ。義明君は何にする?」
「俺はいいです。」と、小声で辞退するも、宇佐美のお父さんは、言った。
「優那、義明君はイチゴ練乳。」
優矢君が宇佐美の手をひいてかけだした。
宇佐美は、小走りについて行きながら、こっちに向かって、ひらひらと手を振った。
二人が行ってしまってから、「宇佐美さん、」と、俺は言った。
「優那さんの事だけど、、花嫁修業中ってことになってるんですか??」
宇佐美のお父さんが、ちょっと焦った顔でこっちを見上げる。
しばし沈黙。
「ああ、優矢が何か話したのかな。」と、宇佐美さんは穏やかに言った。
「優那さんも、そのつもりなんですか?」
彼は、ばつが悪そうに答えた。
「優那には何も話してないし、君にもそう多くは話してない。でも、近所で聞かれたら、誰にでもそう返事しておいた。娘に近所で恥をかかせるわけにはいかん。」
俺が何も言えずにいると、宇佐美さんは、ごそごそと胸ポケットを探り、小さなメモリカードを差し出した。
「ちょうど良いや。これ、義明君にわたそうと思って持ってきたんだ。」
「何ですか?これ。」
「これは、15年前のくまさんの画像だよ。」と、宇佐美さんは言った。多分、俺じゃなくて、親父のことだ。
「中見は、ごちゃごちゃ言うより、見たらいい。」
それより、、
「私の娘は気に入ったか??」と、宇佐美さんは言った。
何て答えていいか分からない。
「約束を急いでも、二人とも二の足踏むだけだろうと思ってな。一緒に住むって言うもんだから、様子を見てた。君、娘を傷物にしておいて、今から返品したりしないだろうな。」
「優那さんは傷物じゃないし、優那さんは、俺んちのこと、下宿くらいにしか考えてませんよ。」
宇佐美さんは、うってかわって不機嫌な顔をした。
「私は、君の考えを聞いてる。優那は、覚悟もないのに、男のところに転がり込むような娘じゃない。どちらも相手の顔色うがってるばかりじゃ何も始まらんだろう。。」
お父さんに言う必要は無いが、宇佐美には、「そこまで好きでもないのに婚約してしまった」前科もある。流されて逃げられない状況に追い込まれるのが、彼女にとっては、1番辛いんじゃないだろうか。
ちゃんと彼女の考えを聞いた方がいい。。
宇佐美さんは、親父の親友だったという話だ。俺の今までの認識では、ちょっとぼうっとした人という印象だった。宇佐美家も、てっきりものすごく放任なんだと思ってた。ところが、、どうやら、全く違うらしい。。
「親の私が言うのも何だが、あれは本当に素直で良い娘だ。あれと優矢は、裏表が無い。母親に似たんだ。だから、可愛くてしょうがない。報われない苦労はさせたくない。私の娘が気に入ったかと聞いている。」
正しい返事は分からない。何か、自分が、えらくまがぬけたものに感じた。
「責任とる気があるか?」
だから、お父さん、宇佐美優那の気持ちはどうするんですか、??
「優那さんに近所で恥をかかせることなんて、絶対にしません。彼女が熊谷家を出るとしたら、俺がふられたってことです。」
「気に入らない返事だが、まあ良い。優那は君のところに嫁にやるから、そのつもりで。」
彼は、ちょっと不機嫌に見えた。
セカンドオピニオンが必要だ等と考えながら、俺は何も答えられなかった。
ようやくかき氷が帰って来て、緊張した空気から解放される。
宇佐美のお父さんは、子どもたちの前では、終始笑顔だった。さっきは、別人にノリウツラレタのかと思えるくらいだ。落ち着いてから、もう一度、話を整理してみよう。
何も知らない宇佐美は、久々の家族との時間を楽しんでいる。
踊り疲れた連中みんなが、こちらに戻って来た。
「喉乾いたぁ。ああ、義明、それ、俺にも分けてくれ。」と、洋治が言った。元々、食べたかったわけではないから、かき氷は洋治の手にわたって、あゆみにもつつかれていた。
「腹へった。何か食べよう。」と、洋治が言った。
宇佐美とお父さんが、あちらで手を振っている。
優矢君が、またかけだした。
「優那、かき氷買いに行こう。かき氷買う約束した。」
本当に元気だ。
「優那、お父さんが出すよ。お父さんにはみぞれ買ってきてくれ。義明君は何にする?」
「俺はいいです。」と、小声で辞退するも、宇佐美のお父さんは、言った。
「優那、義明君はイチゴ練乳。」
優矢君が宇佐美の手をひいてかけだした。
宇佐美は、小走りについて行きながら、こっちに向かって、ひらひらと手を振った。
二人が行ってしまってから、「宇佐美さん、」と、俺は言った。
「優那さんの事だけど、、花嫁修業中ってことになってるんですか??」
宇佐美のお父さんが、ちょっと焦った顔でこっちを見上げる。
しばし沈黙。
「ああ、優矢が何か話したのかな。」と、宇佐美さんは穏やかに言った。
「優那さんも、そのつもりなんですか?」
彼は、ばつが悪そうに答えた。
「優那には何も話してないし、君にもそう多くは話してない。でも、近所で聞かれたら、誰にでもそう返事しておいた。娘に近所で恥をかかせるわけにはいかん。」
俺が何も言えずにいると、宇佐美さんは、ごそごそと胸ポケットを探り、小さなメモリカードを差し出した。
「ちょうど良いや。これ、義明君にわたそうと思って持ってきたんだ。」
「何ですか?これ。」
「これは、15年前のくまさんの画像だよ。」と、宇佐美さんは言った。多分、俺じゃなくて、親父のことだ。
「中見は、ごちゃごちゃ言うより、見たらいい。」
それより、、
「私の娘は気に入ったか??」と、宇佐美さんは言った。
何て答えていいか分からない。
「約束を急いでも、二人とも二の足踏むだけだろうと思ってな。一緒に住むって言うもんだから、様子を見てた。君、娘を傷物にしておいて、今から返品したりしないだろうな。」
「優那さんは傷物じゃないし、優那さんは、俺んちのこと、下宿くらいにしか考えてませんよ。」
宇佐美さんは、うってかわって不機嫌な顔をした。
「私は、君の考えを聞いてる。優那は、覚悟もないのに、男のところに転がり込むような娘じゃない。どちらも相手の顔色うがってるばかりじゃ何も始まらんだろう。。」
お父さんに言う必要は無いが、宇佐美には、「そこまで好きでもないのに婚約してしまった」前科もある。流されて逃げられない状況に追い込まれるのが、彼女にとっては、1番辛いんじゃないだろうか。
ちゃんと彼女の考えを聞いた方がいい。。
宇佐美さんは、親父の親友だったという話だ。俺の今までの認識では、ちょっとぼうっとした人という印象だった。宇佐美家も、てっきりものすごく放任なんだと思ってた。ところが、、どうやら、全く違うらしい。。
「親の私が言うのも何だが、あれは本当に素直で良い娘だ。あれと優矢は、裏表が無い。母親に似たんだ。だから、可愛くてしょうがない。報われない苦労はさせたくない。私の娘が気に入ったかと聞いている。」
正しい返事は分からない。何か、自分が、えらくまがぬけたものに感じた。
「責任とる気があるか?」
だから、お父さん、宇佐美優那の気持ちはどうするんですか、??
「優那さんに近所で恥をかかせることなんて、絶対にしません。彼女が熊谷家を出るとしたら、俺がふられたってことです。」
「気に入らない返事だが、まあ良い。優那は君のところに嫁にやるから、そのつもりで。」
彼は、ちょっと不機嫌に見えた。
セカンドオピニオンが必要だ等と考えながら、俺は何も答えられなかった。
ようやくかき氷が帰って来て、緊張した空気から解放される。
宇佐美のお父さんは、子どもたちの前では、終始笑顔だった。さっきは、別人にノリウツラレタのかと思えるくらいだ。落ち着いてから、もう一度、話を整理してみよう。
何も知らない宇佐美は、久々の家族との時間を楽しんでいる。
踊り疲れた連中みんなが、こちらに戻って来た。
「喉乾いたぁ。ああ、義明、それ、俺にも分けてくれ。」と、洋治が言った。元々、食べたかったわけではないから、かき氷は洋治の手にわたって、あゆみにもつつかれていた。
「腹へった。何か食べよう。」と、洋治が言った。

