いつの頃からか、

香菜子は吉田作品を
手にするのをやめた。




他に、夢中になる人が現れた。


それは、

インターネット関係の若き富豪と
呼ばれる青年だった。




この人なら、

青信号でも、右折車さえ注意しそうだ
恋愛小説を、読みはしても感想を語ることもなさそうだ
同じ意見を必ずしも求めなさそうだ
私を大切にしてくれそうだ
身の危険を取り除いてくれそうだ



職業柄、
香菜子はサイバーテロに遭いやすい
状況にあった。