不格好ながらもなんとか皮をむき、食べやすいように切って皿に盛りつけ、真君の寝室に向かった。

中に入ると、真君はベッドの上でスヤスヤと眠っている。

夏休み中、真君は忙しかったからきっとその疲れが出たのだろう・・・

私は近づき、真君の顔を覗き込む。

眠っている真君はほんと綺麗な王子様のよう。

「風邪をひいているのに、それはよくないよね・・・」

私が離れようとすると、いきなり私のてをつかまれ、引っ張られた。

「!!」

瞬間に思考が停止する。

一体何が・・・?

「なつき・・・」

私の耳元でそう囁く真君。

そう。私は真君に抱きしめられている。

抱き枕のように。

「ま、真君・・・!!」

「なつき・・・行くな・・・
もっと俺のそばにいろ。どこへも行くな」

その声も言葉も、どこか寂しそうな響きに聞こえた。

風邪をひいているからなのかは分からないが、まるで本心からの言葉に聞こえる。