「あ、あの・・・!!
お代は、私が支払いますので、大丈夫です・・・」

「え~、いいよ?気を遣わなくて」

「でも・・・」

「大丈夫。こんなの、冗談だから。
楢井の分もちゃんと僕が払っとくから、安心して」

あ、なんだ・・・

「って、ダメだよ!!
食べたものは自分で払わないと!!」

「・・・
ぷっ!!はははははははは・・・」

突然、早見君が大笑いをしだした。

何かおかしなこと言ったかな?

「ごめんごめん。
案外、楢井ってしっかりしているんだね。
じゃあ、こうしよう」

「?」

「これからは、この喫茶店の料金は僕が払うよ。
そのかわり、楢井は僕のご主人様になってほしい」

は?

「えっと・・・
どういうこと?」

「真は、ドMなのか?」

「違うよ!!
楢井と出会ったのも何かの縁かもしれないよ?
毎日ここに通っているみたいだから、これからも、この店に通うんでしょ?
でも、ここの料金を毎日払っていたら、いくらお金があってもたりないでしょ?」

まぁ、確かに・・・

「だから、ここの料金は僕が支払う。
僕だとなにかと融通が利くしね」

「まぁ、確かに・・・」

「でも、タダでそんなことしても、しっかりしている楢井は引き受けてくれないだろうから、僕がこの店の料金を支払う代わりに、楢井は僕のご主人様になってよ」

「どんなことをすればいいの?」

「楢井は、今、一人暮らしだよね?」

「何で知ってるの?」

「だって、合格発表から、全然親の姿は見えないし、同伴していなくても親から合否を聞きに連絡するはずなのに、それがひとつもない。
しかも、家の中も楢井以外誰もいないみたいだから、一人暮らしかなぁって」

なるほど・・・

「そう、わたし、一人暮らしなんだ」

「うん。
で、僕に晩御飯とお弁当を作ってほしいんだ」

「へ?」

「おい、それって・・・
この子が犬になってねぇか?」

「なってないよ?
だって、ペットを飼ってる家なんか、ご主人様がご飯を用意してるじゃん」

確かに、そうだけど!!

「でっも、うまく作れるかどうか・・・」

「あ、それは、心配ないよ?
だって、今日もらった卵焼き、すっごく美味しかったもん!!」

そう言えば、もらいにきていたな・・・

「女子の弁当をたかりに行ってるのか?」

「たかりに・・・なんて行ってないよ?
なんか、食べる?って言ってもらったんだ~」

と明るく話す。

最初の部分を飛ばして説明するから、意味的に違って聞こえる・・・