虚構のシナリオ

息を切らせて走ってきた平野を
冷ややかな視線で見つめる裕子。



「なんですか?
私は先を急いでいるんですけど」



息を整え
落ち着いた平野は


裕子を見据える。


裕子も平野の視線に負けず
見つめ返す。



騒がしい駅のコンコースの中


2人の間にだけ
静寂が流れる。