「指輪の相手って誰だ、?」

「……はい、!?……だから、その指輪の」

「これか?」


と、彼が右手の甲をこちらに向けて問うてくるものだから、すぐに頷いて見せると、途端に鼻で笑われた。


「俺がいつ、相手がいると言った」

「それは、」

「これは単なる女避けだ」

「——え」

「まあ、誰かさんは勝手に勘違いしてたみたいだが」

「……っ、」


恥ずかしさで、顔が火照るのが自分でも分かる。


「で、でも例え先生に相手が居ないとしても、この曖昧な関係が嫌なんです」


勘違いだとしても、私がこの三年間悩み、苦しんできたのは本当だから。


「でも、俺のこと好きだろう」

「、」


この男は、どうやら私を苦しめ続けたいらしい。

惚れた弱みを最大限に、私の弱みとして利用する気らしい。