わざわざ高い入学金や学費を払って、私を送り出してくれた両親に申し訳ない思いで一杯だった。

一人娘が男性准教授をストーカーして逮捕されただなんて、世間の冷たい視線に晒されるであろう両親を思うと、言葉が出ない。

そんな私に今出来る事と言えば、


「……な、何でもします。お願いですから誰にも、言わないでください」


自分勝手なのは重々承知の上で、震える声で必死に頼み込む事くらい。

しかし、先ほどまで楽しげだった桜庭准教授は唐突にため息をついた。


「興醒めだな」


「え、?」


「どうやら君は、少々早合点する節があるらしいな」


「……、」


「人の話は最後まで聞きなさい」


「……はい、」