その内、自分一人だけのためにご飯を用意することさえ億劫になり、自炊もしなくなった。

実家では、知らぬ間に母が買い足しておいてくれていた生活必需品も、頼まなくてもやってくれていた家事さえも、今では自分で何もかもしなければ生活が成り立たない。


「(……生きるってこんなにも難しかったんだ。)」


失って初めて気付く両親の有り難みを、私はようやくひしひしと感じ始めていた。


「(……私はいつだって両親に生かされていたんだ。)」


と、気付かされる毎日の連続に、自分でも気付かない内に心のどこかで拠り所を求めていたのかもしれない。


「君は俺をここに自分が留まる理由とする事で、自分を満たそうとしていたんじゃないのか?」