『桜庭准教授的”好き”の理論《short ver.》』

しかし、この男が求めているのはアイスコーヒーの為、次にポットを用意し、軽く水洗いしたら冷凍庫から取り出した氷でポットを山盛りにする。

そこに熱々のコーヒを注ぎ入れ、山盛りになっていた氷とコーヒーが程よく解け合えば、アイスコーヒーの出来上がり。


「コーヒー入りましたよ」


彼の傍にそっと近づき、机上の隅にコーヒーの入ったグラスを置く。

その一瞬だけ、私を見るこの男の視線は微かに優しい。


「……頂こうか、」


そう言うと、一旦作業を中断し、グラスを傾けた桜庭准教授。


「フッ……相変わらず、コーヒーだけは上手く淹れるな」


「……”だけ”って何ですか。”だけ”って」