『桜庭准教授的”好き”の理論《short ver.》』

何を隠そうこの部屋の主は、コーヒーにはかなりのこだわりが有るらしく、私が知る限りでも彼がインスタントコーヒーなんて飲んでいる姿を見た事がない。

つまり必然的に、彼にコーヒーを淹れるように言われた場合、私はそれらを駆使してコーヒーを淹れなくてはならないのだ。


「嗚呼。アイスにしてくれ」


「(……はいはい。アイスコーヒーですね。……そうくるだろうと思ってましたとも)」


とりあえずコーヒー豆が入ったパッケージの封を切り、豆の状態から粉末状にする為にミルにかける。

この部屋に設置されたコーヒーメーカーは、ペーパーフィルターを使用するタイプの為、ミルのメモリを粗挽き用に調節する。