「美鈴、あいつと知り合いだったの?」
帰り道、雪斗がそう聞いてきた。
「え?あいつ?」
「うん。さっき話してたじゃん」
「あ、来人さん?」
「そう。仲良かったっけ?」
「ううん。別に。雪斗待ってる時に話しかけられたの」
そう。話しかけられた時にはすごくびっくりした。
「ふーん」
「なに?」
「別に」
「え、なに?こわ」
私達はそう言って帰リ道を歩いていった。

家の前まで来ると私が鍵を開けて中に入った。
私は2回にある部屋まで行って荷物を置き、来人さんにもらったあの紙と、スマホを持ってベッドに座った。
「えーと、ID検索…と」
画面に出てきた来人さんのアカウントを追加するとトーク画面を開いてなにか送ることにした。
「何送ろ」
先輩に送るというのもあり初めて送るメッセージに悩んだ。

"こんにちは!神田美鈴です。
追加させてもらいました。よろしくお願いします!"

悩んだ末この文を送ることにした。
うん。いいよね。なんか途切れ途切れだけど…。
まあ、大丈夫でしょ。
トーク画面を閉じて着替えようとした時、下から雪斗の声が聞こえた。
「美鈴ー!夕飯何にするー?」
夕飯か…。あ、今日って確か15日…。
私は階段を駆け下りて雪斗のいるソファに座った。
「今日って、お母さんたち帰ってくる日だよ!」
私がそう言うと焦ったように驚いた。
「え、そうだっけ?」
カレンダーを見ると今日は15日の金曜日。
「うわ、ほんとだ!何時になるって言ってたっけ?」
「えーっと…6時半、とか?」
「6時半かー。あ、ならバーベキューしない?」
いたずらっ子みたいに雪斗がそう提案した。
バーベキューか!
「いいね!じゃあ、今から買い出し行かないと間に合わないね」
時計を見ると5時半過ぎ。
「そうだなー。あと1時間か。炭って物置になかったっけ?」
「あったっけな…。わかんない。私、買い出し行ってくるね」
「探してみるか。美鈴1人で大丈夫?」
「バカにしてるの?私高校生だよ?もう子供じゃないの!」
「ごめんごめん。じゃあ、お願い。俺炭おこしとくから」
「うん、わかった!お肉と、適当に野菜買ってくるね」
「おう!よろしく!」
私はまた部屋に戻ってお財布とスマホ、買い物袋を持って出かけて行った。
「行ってきます!」