私は、教室に戻ってきた。

「あぁ~。美鈴お帰り〜」
戻ってそうそう菜々美が駆け寄ってきた。

「ただいま。あのね!いいこと教えてあげる!」
「いいことって?」
聞いてきたのは涼希だった。
涼希は不機嫌なのか、ムスっとした様子で聞いてきた。
「え…何?涼希、怒ってんの?」
菜々美がニヤけた…ような気がした。
「は?いや、怒ってないし…」
「フフフ」
「なんだよ」
「べっつにー。で?美鈴いいことって?」
「あ、えーと、なんかね、私たちのクラスに転校生来るって」
「え!ほんと!え?女子??」
「ううん。男子」
「うぉ!マジ!よっしゃ!」
陸也が喜んだ。
「やっぱり。陸也喜ぶと思った」

「あ、ねーねー美鈴」
菜々美に呼ばれた。
「ん?なに?」
なぜか、クラスの女子がざわついていた。菜々美が指さした方を見ると…。
「あっ!雪斗!」
兄の雪斗がいた。私が駆け寄って行くと、後ろから新斗もついてきた。

「どうしたの?」
「美鈴、今日鍵持ってきてる?」
「鍵?あるよ」
「新斗は?」
「俺?あー、多分あるはず」
「俺さー、今日忘れちゃったんだよねー」
雪斗が笑いながら言った。
「だからさ、一緒に帰ろ?」
「いいよ!」
「俺今日部活」
「じゃー、2人で!私は帰れるから」
「おう!サンキュ。じゃ、後で」
「うん。バイバーイ」
「じゃなー」

菜々美たちのところに戻る途中、クラスの女子の中心人物でもある青山ゆりあさんに声を掛けられた。
「ねぇ、神田さん。雪斗センパイとどういう関係か知らないけど、調子乗んないでよ?」
「…え?急になに?」
「いいから。とにかく、調子乗んじゃないわよ」
「どした?」
新斗が見ていたらしく、声をかけてきた。
「なんか…青山さんが雪斗とどんな関係なのかって聞いてきたの」
「あっそ」
なにその素っ気ない態度、と言おうと思ったとき、ちょうど菜々美と陸也が来た。

「どしたの、美鈴。ゆりあに声かけられたの?」
「え。うん…。」
「ゆりあに声かけられるとか…。変な事言われてない?」
「まぁ…」
「そう…。良かった」
菜々美が心配してきた。
「どうしたの?」
「いやー。ゆりあさ、中学校のとき、いろいろヤバかったんだよね」
菜々美がこっそり耳打ちしてきた。
「ヤバかったって?」
「うん…まぁ、いろいろ」
「え?なに?」

聞こうとした時、チャイムが鳴った。
「あ!チャイム鳴ったし、終わり終わり!今度言うわ」
そう言って菜々美は自分の席に戻った。