「おっはよ♪美鈴」
朝から元気よく菜々美が声をかけてきた。
「おはよう。菜々美」
「よっ」
「はよ〜」
陸也と新斗も来た。

私と新斗と陸也は17年間の付き合いで、世間的に言う幼なじみ。
母親が高校の同級生で、家も近くて、生まれてからいつも一緒にいたって感じ。
菜々美は入学して同じクラスになって意気投合してしまい、今では大親友。
「ねーね。今日の宿題わかんなかったぁ。誰か見せて~」
「お前、またやってきてねーの?」
「何日連続で忘れてんだよ」
菜々美が言うと、新斗と陸也がつっこんだ。
「いや、やってこなかったんじゃなくて、分かんなかったの!」
「はー?分かんなくてもやってこなかったんだろ?変わんねーよ」
「変わるよぉ。スッゴく変わる!」
「お前なぁ、ここ1週間まともに宿題やってねーだろ?自分でやれ」
「えー。陸ちゃんひどーい」
「陸ちゃんって呼ぶな。てか、そう呼ばれた理由お前知らないだろ」
「えー。いや、知ってても知らなくても呼ばれてたなら呼んでもいいじゃん」
「は、意味わかんね」
菜々美と陸也の会話はいつも面白い。新斗も笑って見ている。

「んもぉ。しょーがない!美鈴見せてぇ。陸ちゃん見せてくれないからぁ~」
「ハイハイ。いいよ。でも、次からはちゃんと自分でやってよ??」
「うんうん。ありがとうございます。美鈴様はさすが!親友だわ〜。では借ります♪」
「おい、美鈴。見せなくてもよかったんだぞ?自分でやりゃせりゃーいいじゃんか」
「うーん。でもねぇ。菜々美、1度言いだすと聞かないじゃん?しょーがないんだよ」
「そうか?美鈴はコイツに優しすぎんだよ。ちょっとは厳しくしなきゃ」
「ま、今度からね!」

「神田さーん。あなた今日、日直でしょ?」
学級委員の小林さんに言われた。

「あっ!忘れてた!」
そう言って私は急いで教室を出た。

「はぁ~。アイツ、昔っからあぁだよな?」
「うん。でも、そこが美鈴のカワイイとこじゃん♪陸也だって、そうやってあきれながらもカワイイって思ってんでしょ?心の中では!」
「ちっ、ちげーよ!俺は、全くそんなこと思ってねーし...」
「フフっ。バレバレ~!」
「だな。陸也、バレバレだぞ?」
「ほらぁ。涼希も言ってんじゃん!」
「うっ、うっせーな!そんなこと思ってねーから!からかうな!」
「またまたぁ~。フフっ。ホンット分かりやす!」
「うっせーよ!菜々美!黙っとけ!」
「あ~あ。陸也が怒った。アイツに嫌われるぞ」
「なっ!あのなぁ!そう言ってるお前こそ、弟の立場を利用して美鈴に近づいて…」
「は?そんなわけねーじゃん。ちげーからな」

「あれあれ~?まさかの幼なじみくんと弟くんが2人で美鈴を狙ってんのぉ?マジィ~?」
「「ちっ、ちげーよ!からかうな!」」
「フフっ。こりゃ、バレバレだわ。あー、私のことをそこまで想ってくれる人は…。あぁ、どこにいるのか…」
陸也と涼希は顔を見合わせた。