夕食を共にした後、彼女に見送られて玄関を出た。

また明日…と言う彼女のことを抱き締めて、明日仕事が終わったら店に来るように…と言った。


「愛花に見せたいものがあるんだ。とびきりのプレゼントだと言っても過言じゃないよ」


頭の中にあの桜の木で作った名刺が浮かぶ。

俺の言葉に彼女が「何？」と首を傾げる。
俺は、それは明日のお楽しみだと笑い、「それじゃまた」と手を握った。


明日の朝、またこの手を握られるかどうかは誰にも分からない。

でも、俺はそれでも彼女にずっと言い続ける。


「おやすみ。今夜もずっと、愛花のことを想い続けて眠るよ」


君を想わない日は一日もない。

俺はこれからもずっと、君に苦い恋をし続けていくんだ。


そして、そんな日を積み重ねていく。


いつか死が、俺たち二人を別つまで…………。



Ｆｉｎ