「何となく~!?」


迷惑そうに繰り返し、馴れ馴れしい…と拗ねた。
俺はその様子が益々可愛い…と思え、手を伸ばすと自然と言うか、つい弾みで彼女の髪にキスを落とした。


「ひゃっ!」


頭の上でリップ音が鳴ったせいか、彼女は肩を竦めてしまう。

俺は酔ってもないのに彼女の行動全てが可愛く見え、自分でもこれは、流石に認めないといけないのかもしれないな……と思い始めた。



「帰ろう。家まで送るよ」


一度店まで戻るとまた遅くなる。
大将の言うように、ご両親が彼女の気持ちを勘違いしてるのなら、今夜はこれ以上遅くならない方がいいだろうと思った。


「そんなの迷惑です!」


「誰が?俺はちっとも迷惑じゃないよ」


寧ろ君ともう少し一緒に居られるから嬉しいと言えば引かれるのかな。

でも、俺は彼女への興味が更に広がり、このままアッサリと店へ戻るのは嫌な気分がしている。


「ほら帰ろう。明日の朝も俺が迎えに行ってやるよ」


尽くしてやるつもりで言うと、彼女はプイッとそっぽを向いた。