「…はい。此処に住まわれていた方は、どういう理由でこの家と土地を手放されたのでしょうか?
出来れば住んでいた方のお名前などを教えて頂けると有難いのですが」
話を聞いて、森本社長は天井を仰ぐ。
プライバシーな事でもあるし、教えてもいいものだろうか…と迷っているみたいだ。
「駄目でしょうか?」
俺は時間が惜しいとばかりにせっついてみた。
社長は顔を前に向け直すと、他言をしないと言われるなら…と断った。
「それは勿論致しません。私はただ、自分の知り合いがこの家に何らかの関係があるんじゃないかと思っているから訊ねに来たんです」
「お知り合いが?」
「ええ、女性なんですが」
頭に浮かぶ彼女のことを思いながら頷く。
社長は「ほぅ…」と短く呟き、「そうですね…」と言いながら、もう一枚のコピー用紙を取り出した。
「この物件の持ち主だった方の名前は、『川並ハル』様と仰います。ご高齢の女性で、病気で急逝されたと書いてますね」
持ち主の情報が載っているコピー用紙を確認しながらそう言い、俺は愕然としながら「かわなみ?」と聞き返した。
出来れば住んでいた方のお名前などを教えて頂けると有難いのですが」
話を聞いて、森本社長は天井を仰ぐ。
プライバシーな事でもあるし、教えてもいいものだろうか…と迷っているみたいだ。
「駄目でしょうか?」
俺は時間が惜しいとばかりにせっついてみた。
社長は顔を前に向け直すと、他言をしないと言われるなら…と断った。
「それは勿論致しません。私はただ、自分の知り合いがこの家に何らかの関係があるんじゃないかと思っているから訊ねに来たんです」
「お知り合いが?」
「ええ、女性なんですが」
頭に浮かぶ彼女のことを思いながら頷く。
社長は「ほぅ…」と短く呟き、「そうですね…」と言いながら、もう一枚のコピー用紙を取り出した。
「この物件の持ち主だった方の名前は、『川並ハル』様と仰います。ご高齢の女性で、病気で急逝されたと書いてますね」
持ち主の情報が載っているコピー用紙を確認しながらそう言い、俺は愕然としながら「かわなみ?」と聞き返した。

