「今度こそ逃げないようにね?」

「逃げる?」

「ちゃんと聞いてくれる人なんでしょ?」

「うん」

「じゃあ逃げないようにね」

「……そだね」

“逃げる”か……。

今までも恋愛の事では散々迷惑かけてきたから、美月が心配するのは当たり前の話だ……しっかりしないとな。

付き合い始めてから何度かデートを重ね、次の休みは彼の部屋でDVDを見る約束になっている。

「ねぇ明日何時ごろ終わりそう?」

「んっとね……8時過ぎかなぁ」

「次の日は仕事だよね?」

「昼から仕事かな」

「昼からなの?」

「うん。また明日詳しく話すけど、日曜日の昼から近くのカフェで教室する事になったの」

「そうなんだ。渚先生なんだ」

「そっか、そうなるのか……海里と一緒だね」

海里は日本語を教えているから、スクールでは海里先生と呼ばれてるらしい。