「いや、あのね?テーブル片づけてるから……早く帰りたいのかなぁって……思って」

「……私?」

「うん」

「あーこれ、癖です」

「へ?」

「空いたお皿とか、一つだけ残ってるお皿とか、ずっとあるのがダメでテーブルの上にいつまでもずっとあるのが嫌なんです」

「あ……そうなんだ」

「なんかごめんなさい。忙しないですよね?」

「そっか……もしかして、さっきからずっとテーブル拭いてるのも癖?」

「あ、そうそう。気が付いたらずっと拭いてて、なんかごめんなさい」

「良かった」

「……?」

「てっきり早く帰りたいのかなって思ってたから」

「あ……ごめんなさい」

「良かったー」

「早く帰りたいなら、こうして食事してないですよ?」

「……そっか」

「うん」

やばっ……頬が緩むんだけど……なんだこれ、たったこれだけの事が凄く嬉しい。

好きって言われてるんじゃないのに、だけど少なくとも嫌ではないってことだよね?

なんか今はそれでも嬉しい。

あまりにも彼女との接点が少なすぎるから……。

だって、次も僕から誘わない限り、たぶん彼女とは会えないから……。