彼と別れて店に戻ると美月が聞いてきた。

「ただいまー」

「おかえり。ねぇ渚、さっきの誰?知り合いって?」

「……え?」

「何?ぼーっとしちゃって。なんかあったの?」

「……ううん。今なんて?」

「麻衣ちゃんから聞いた。なんかカッコいい人だったって。誰?」

美月が楽しそうに聞いてくるけど、何もないんだけど。

「海里って言ってた」

「年上?」

「年下」

「ふーん。どこで知り合ったの?」

「雨の日に一度、あと海の日に一度」

「鎌倉行った日に喋ってた人?」

「うん」

「なんで店に?」

「この前助けてもらった時に店の話をしてたの。そしたら、お姉さんの誕プレ買いに来てくれたの」

「その人……夏渚の事好きなんだね」

「へ?なんで?」

「普通そうでしょ?」

「そうかなぁ?違うと思うけど?」

そんな素振りなんか無かったように思うけど……。