「あー僕、泳げないから」

恥ずかしそうに笑って、そう言った彼は、この前も照れくさそうに可愛く笑っていたのを思い出した。

「あーそうなんですね」

「貝殻拾って何か作るんですか?」

「そうなんですよ、友達がお店の商品を作るのに少し」

「へぇーおもしろそ」

「良かったらお店来てください。下北で駅から少し離れますけど雑貨屋やってるんで」

「……へぇ。下北だったら近いかも」

「彼女さんのプレゼントとかに出来るのがあると思いますよ?」

「そうなんだ」

「下北でハンドメイドN&Mって検索して下されば、ネットでも販売してますし地図乗ってるんで、良かったらどうぞ」

来るはずもないけれど、少し営業チックな事をやってみる。

所謂社交辞令ってやつ?ちょっと違うか。

男性一人で来るようなお店ではない。常連さんなら一人でも来店してくれるけど、大抵は彼女だったり、家族で入って来られる人の方が圧倒的に多いから。