蛇口を捻り、水を出したら水が吹き出してきた。

「わぁっ!ちょちょっ!」

あまりにも吃驚して大きな声が出てしまい、周りに人が居ないか思わず見渡した。

「……よかった」

他の人に水がかかってたら申し訳ないし、恥ずかしい声も聞かれてなくて、安心したのは良いけど、この蛇口の抑えてる手をそっと離せば水が吹いて出るし、どっちに捻っても水が止まる事はない。

……どうすればいいの?

「美月ちゃーーーーん」

少し離れたトイレに行った美月を呼んでみたけど、聞こえないのか返事はない。

……ほんと、これどうしよ。

美月が気付いて探しに来てくれるまで、このまま待つしかないのか、諦めかけてきた時

「どうかしましたか?」

声がする方を振り向くと背の高い男の人が立っていた。

太陽の光が眩しくて、あまり顔は分からないけど、事情を話すと海の家の人を呼んできてくれて、ようやく蛇口から手を離す事ができた。