「うん……今まで私は仕事を一番にして生きてきた。会いたいって言ってしまったら、理性なんか失ってしまって、仕事放ってでも、会いたくなったら会いに行ってしまいそうで……怖かった」

「……」

「仕事を辞める事は出来ないし、仕事放ってしまったら、美月に迷惑かけるのも怖かった」

「……」

「一番が海里になった時、自分がどうなるかなんて想像が出来なくて、こんなの初めてだったから……怖かった」

「……」

「もし、一番が変わってしまって……その先に別れが来たらどうなるんだろうって、自分が壊れてしまうんじゃないかって……それが怖かった」

「……渚」

「怖くて怖くて……出来ないって結局逃げちゃった」

「……」

「知らなければ今まで通り仕事で生きていける。仕事さえあればもういいやって……だからこの気持ちは封印しようって」

「……」

「でも……海里がそんなにも我慢して、不安になってたなんて気付かなくてごめんなさい。傷付けるくらいなら……ちゃんと話せば良かったって今になって後悔してる。今さらだけどごめんなさい」

「気付いてあげれなくてごめん」

「……ごめん」

知らなかった……そんな事思ってたんだ。