「今まで、ありがとう。 楽しかった。」 それだけを伝えて、凛花に背を向けた。 背後からは啜り泣くような声が聞こえた。 振り返って、凛花の方へと歩みを進めて、その身体を自分に引き寄せて、腕の中に閉じ込めて、慰めてあげて。 今すぐ、そうしたい。 できることなら、そうしたい。 「別れたくない、別れたくないよぉ……」 そんな声も聞こえる。 ……俺だって。 そんな後悔の念が押し寄せてくる。 俺は逃げるように、離れていった。