「先生には言わないであげるから蓮見さんも俺がゴミ捨てたこと言わないでね」

「ゴミ…ってあれ、お菓子じゃないの…?」

莉緒ちゃんが今日黒瀬くんにあげたやつ…。

そう言うと黒瀬くんは「俺がゴミだと思ったんだからゴミでしょ」と言った。

「捨てるなら場所くらい選べばいいのに…」

私の声が聞こえたらしい黒瀬くんは「ああいうの何が入ってるか分かんないから嫌いなんだよ。髪とかしょっちゅうだし」と言って自分のスマホをポケットにしまった。

「ほら蓮見さん、いつまで座ってんの」

手を差し出した黒瀬くんはいつもと同じく王子様然としていて小さく手を伸ばすと優しく引き上げてくれた。

「黒瀬くんは私が明日バラすとか思ってないの?」

「蓮見さんには多分無理でしょ。それにもし言われたとしても落としたとか無くしたって言えば皆信じるし」

「何それ、性格悪くない!?」

「皆騙されてるんだから別にいいでしょ」

「騙されてる子が可哀想と思ったことは…?」

「ないけど?」