でもその日はいつもの王子様然とした姿からは想像できないくらい黒瀬くんは別人だった。
可愛らしい紙袋を教室のゴミ箱に突っこむなんて…誰が想像できただろう。
確実に見ちゃいけないところを見てしまったと想像出来た。
とりあえず黒瀬くんが教室から出て行くのを待とうと思った私は息を殺して廊下の隅に蹲った…のだが運悪く通信アプリの通知音がカバンから漏れた。
いつものにぎやかな廊下なら目立たないだろうが今は人なんていない。
無機質な機械音は容赦なく響いていた。
慌ててスマホを取り出して通知を切ったのだがもう遅かった。
「誰かと思ったら蓮見さんじゃん。…あれ?見てたの」
黒瀬くんはスマホを片手に廊下にしゃがみこんでいる私を見て平然と言った。
「黒瀬くん…私何も見てないから!」
弁明したが黒瀬くんは小さく溜息をついて「その時点で見たことばれてるからね」と言った。
そして上着のポケットからスマホを取り出したかと思ったらパシャリという音がして私は目を丸くした。
