そしたら近くにいた彼がしゃがんだまま私に集めたプリントを渡した。
「ぶつかったのは俺も悪いし、気にすんなよ。磯村さんだけが悪いわけじゃねぇから。」
…………え?
彼の言葉に思わず固まってしまう私。
だって今……
「なんで、私の名前を………?」
確かに彼は私の名前を呼んだ。
呆然とする私を見て笑った彼。
「なんでって………いつも書類まとめて届けてきてくれる人のこと、忘れるわけねぇじゃん。」
そして、そんなことまで言ってくれた。
…………私の存在を彼は認識してくれていた。
それだけかもしれないけど、彼にとったら当たり前のことかもしれないけど………
涙がでそうになる私。



